三 政見は明瞭を要す
候補者の政見は明瞭を要する。今日では、その一歩として候補者の
政党の所属関係を明らかにする事が必要である。この点の関係して、
一般に政党というものに反対する等の事情がなければ、候補者の
無所属、中立と云うが如きことには、賛成できない。
また、現在の政党が不人気だから、とか、
政党の政策を明らかに標榜することを避けたいという理由から、
無所属、中立を名乗るものは
卑怯である。こういう人物は、
自分の都合で、西へ東へと吹かれて行く。政党間の対立において、
争奪の目的となるのはこういう議員であり、
或る意味では買収という弊害の根源とも言い得る。
なお中立とは、政党に対するものであって
政治主義に対する関係ではない。この場合であっても、政治問題について
明瞭なる意見を持たなければならない。
各個の政治主義に対して無所属とか中立とか云うことはあり得べきものではない。
そして、選挙の際の運動は、
言論戦でなければならない。ここでの言論は
政見に関するものでなければならないが、目下のところ、
候補者の個人的価値についてのものが多い。
『政見はとにかく、天下の人物だから、代議士たるに適する』という主張は、耳には入りやすいが、これは立憲主義の立場からは、
鬼面人を嚇すようなものである。
佐々木惣一
一票の投げどころ同『立憲非立憲』 所収(2016年、講談社学術文庫)171-174頁。