生活保護を受けるのは「沽券にかかわること」と思っている人がいる。一方、「不正な手段で暮らすことは別に沽券にかかわらない」かのような暮らしをする人もいる。後者のほうが、「よほど不名誉なはず」である。
貧しさと関連して、われわれは、新しいもののために「あまりあくせくするべきではな」く、「古いものを裏返しにして使い、つねに古いものへと立ち返ろう。世間はちっとも変わりはしない。変わるのはわれわれのほうだ」。「新境地」を描こうとしすぎたり、「いろいろなもの」に感化されすぎてはならない。
思想は守られねばならない。貧困になっても「貧しい分だけ、諸君は軽薄な人間にならなくてすむ」。貧困になっても「精神的に高い暮らしをすることによって失うものはなにもない」し、「魂の必需品を購うのに金はいらない」のである。
H.D.ソロー『森の生活下』(1995年、岩波文庫)283ー285頁。