「第2章 愛国心を論ず」
帝国主義 「軍備」「軍備を後援とせる外交のこれに伴わざるはなし」。
愛国心、軍国主義 「列国現時の帝国主義」にとって通有の条件。
愛国心が愛する対象 「自家の国土」「自家の国人」「自家一身」。
愛国主義 「憐れむべき迷信」「好戦の心」「虚誇虚栄の広告」であって「専制政治家が自家の名誉と野心に達するの利器と手段に供せられる」。
「国民の愛国心」 一旦その好むものにさからうと「人の思想をすらも束縛」し「歴史の論評をも禁じ」「総ての科学をも粉砕」してしまう。文明の道義はこれを恥とするが、愛国心はこれを「栄誉とし功名とする」。cf.「愛国的ブランデー」
軍人と愛国心 軍人は国家のために戦うというが、彼らの国家とは「皇上あるのみ、軍人自身あるのみ」。戦いの結果、軍備拡張、物価高騰、輸入超過「曰く国家のためなりと。愛国心発揚の結果は頼母しきかな」。敵人の生命、地、財を多く得ても、これのために政府の歳計「2倍、3倍」となる。愛国心発揚の結果は頼母しきかな」。
① 「迷信を捨て智識」に、「虚構を捨て真実に」に、「好戦の念を捨て博愛の心」につく。これ「人類進歩の大道」。
② 「愛国心に駆使せらるる国民」 「品性の汚下陋劣なる」、「高尚なる文明国民をもって称すべからざる者」。
③ 政治、教育、商工業をもって愛国心の犠牲となさんと努る者 「文明の賊、進歩の敵」、「世界人類の罪人」。
「文明世界の正義人道は、決して愛国心の跋扈を許すべからず」。「卑しむべき愛国心は」「軍国主義となり、帝国主義となって、全世界に流行するを」。
幸徳秋水『帝国主義』(2004年、岩波文庫)19-50頁。