2023年11月11日土曜日

【行政学】辻清明「行政思想の変遷」(1)

第二章 行政思想の変遷

第一節 官房学

 行政学の「起源」としての「官房学」(Kameralwissenschaft)。

 →① 絶対的支配権ないし 「警察権」の基礎を「公共の福祉」に求めた。←「国家権力の後見性」。

  ② 「Kammerと言う言葉にふさわしく、君主の官房財政を増強」するための手段。

*「結局、絶対君主のための統治術(Staatskunst)を研究することを目的」とし、近代国家におけるような政治、立法と区別された行政「の本質に触れるものでなかった」。

第二節 公法学とシュタイン行政学

 「警察」概念、「政策の決定と執行の主体が同一である統治作用」を見直す→「政治と行政に分離しようとする理論的努力」。

 →「分離」についての認識の差異により、①「ドイツ公法学」(Gerber, Laband O.Mayer, W.Jelinek)、②「後年の公法学が発展する緒を作り」、それを批判して行政学を形成した「L. von Steinの系統」に分かれる。

 (一)公法学の特色

 「恣意的な警察(=行政)」を「法律の下位概念に転化せしめ」た。

 →「『法治行政原理』」の過信:行政の法適合性の有無、先例違反の有無、行政と先例の矛盾についての「法理論的操作」をおこなう(∵ラーバントの法律学=「純粋に論理的な思惟過程に限定されるべき」)。

 ⇒「『法規』の立法過程とその効果を、無視または軽視することによって」立法、行政に「隠然と奉仕する結果を惹起」。

 (二)シュタイン行政学の特色

 ① 「二重の関係を設定」。行政に対する憲政の優位(市民社会の承認)と憲政に対する行政の優位(市民社会の批判)。行政は「抽象的な憲政原理の単なる具体化過程」を意味せず、「憲政の具体的な価値そのものが」行政の「現実的機能によって規定される」。

 ② 「憲政」原理の実現と、それが「市民社会の支配階級の現実的利益と癒着する必然性」に着目。この癒着に対して反発する社会的運動の問題の解決として、「行政」独自の機能を主張した。

シュタイン行政学は、「近代社会における理念国家の概念と現実国家の概念との二元的混沌の上に成立したもの」。

 辻清明『行政学概論』上巻(1966年、東京大学出版会)22-35頁。

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