2023年11月12日日曜日

【行政法】原田尚彦「行政行為と行政処分」

「 一 行政法上の概念の特殊性」

 同学他科目の教官から、行政法学における行政行為と行政処分の概念は同じなのか異なるのか、異なるならどちらが広い概念か、という質問を受けた。今現在、「真面目に行政行為と行政処分の概念を追求する」としたなら、どう説明するのが一番適切か。

「二 従来の用語例」

 美濃部達吉、佐々木惣一共に、「行政行為には」、「行政処分のほかに、公法上の契約を含む」とされている。そして「行政行為を行政処分の上位概念として把握され」その上で行政行為全般に通用する効力を説かれているようである。

 戦後において田中二郎は、「公法上の契約を行政行為から除外されている」。そして「行政行為と行政処分を別段区別されていない」。

 「三 『処分』概念の意味」

 学者により用語の使い方は様々であって、「〇〇教授の所説はこうであるなどと、仰々しく並べ立てても、さして意味はない」。「丸暗記する必要などは、まったくない」。ただここで注意したいのは、「戦前の学説は」、行政行為や行政処分の概念を「講学上の概念として構成し」、これを「行政活動の理論的分類」に用いてきた。

 それに対し、昨今では「行政行為概念の方は」「講学上の概念であり、ある種の行政活動に付随する法的特徴を統一的に表現するための目的概念」とされ、行政処分概念は「実定法の規定に結びついた法律上の概念」として用いられている。というのは、行政不服審査法や行政事件訴訟法には「処分」という言葉を用いる規定があり(1条、3条2項)、そのため「行政処分という概念は右の規定でいう『処分』と同義に用いられることが多い」のである。

 なお戦前にも「処分」という言葉を有する法令もあった。しかし戦前の行政争訟は「列記主義」を採用していたため、争訟の対象は「個別法規の解釈で用意に確定することができた」。これに対し現行法は「概括主義」を採用しているため、「現行法のもとでは」取消訴訟の対象となるものの「判定が、比べものにならないほど重要な一般的な法解釈上の問題」となった。その意味で、行政処分概念は、「取消訴訟の対象性を示す実定法上の基礎概念として」法解釈上極めて重要な意味を持ち、「取消訴訟の対象性を表象する法概念として通常用いられていることに注意」したい。

 「四 行政処分とは、行政行為のことか?」

 こう考えると行政処分と行政行為はいかなる関係に立つか。今日の通念では、「両者は、ほぼ同一の概念」と解されており、「取消訴訟の対象である『処分』は、講学上の行政行為でなければならず、また行政行為で足りる」、となる。

 塩野宏、原田尚彦『行政法散歩』(1985年、有斐閣)166-173頁。

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