2023年12月8日金曜日

【憲法学】奥平康弘「防衛問題と憲法」

三 現実主義の台頭と憲法学説の役割

憲法支配学説への挑戦

  政府によるー戦力概念操作を用いたー自衛隊合憲論は、まことに巧みな、現実主義的な立場である。これに対し、自衛隊は『陸海空軍』そのものにあたり憲法上許容されえないものと解する憲法学説は、現実を無視した、ドンキホーテ的な見解となる。

憲法学説の任務

 確かに、憲法解釈が現実無視の空理空論であってはならない。但しそれは、学理上許されないと考えられる現実に解釈が追随しなければならない、ということまでも意味しない。規範が現実を批判し、現実を嚮導するものではなく、現実に追随しなければならないとしたら、憲法の独自の存在意義は消滅するだろう。9条についての支配学説は、現実政治を支配できていない。しかし、これら学説に支えられた批判勢力がなければ日本の防衛策はどうなっていたか。他国の防衛力増強要求に抵抗できたか。そして、憲法改正により、防衛問題を憲法問題とせず単なる政策問題にしてしまうべきか。

四 憲法改正論の問題点

 戦力概念の操作をやめ、防衛問題について憲法を改正するということは、内閣の解釈に追認し現状を肯定するための改正、ということを意味するが果たしてそれだけで終わるか。防衛力強化はいちだんとはずみがつくことになるのは目に見えている

憲法改正論の背後にあるもの

 こういう改正をしたい人たちは、日本国憲法の理念や内容のどれもが、気にいらない

なかんずく、天皇の政治的地位の弱さ・人権尊重・義務の軽視、などは気に入らない最たるものである。9条改正の後は、当然に他の諸条項についての改正も要請することになるのは明らかである

 奥平康弘『憲法』(弘文堂、1981年)255-259頁。

【文学】ソロー『森の生活下』

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